最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
地味女の謎
今は常夜灯を点けているが、恭子さんに文句を言われる事はない。なぜなら、彼女は眠っているからだ。俺に背中を向け、少し丸くなってスヤスヤと……
ああ、なぜだなぜだなぜだ、なぜなんだ!?
なぜ恭子さんは処女だったんだ?
じゃなくて……なぜ恭子さんはそれを俺に言わなかったんだろう。言わないどころか、『私、たくさん経験してます』的な振る舞いをしたのはなぜなんだろうか。それを真に受けた俺もアホだが。
そうと知っていたら、俺はあんな乱暴になんかしなかったのに……
恭子さん、痛かっただろうなあ。実際に『痛い』って言ってたしな……
怖かっただろうなあ。きっと俺の事、ケダモノだと思ってるよなあ……
俺は今まで、あんな風に女の子を抱いた事はない。もっと優しく優しくしてた、と思う。
真っ暗だったからいけないんだ。それで変にテンションが上がっちまった。恭子さんはセックスに慣れてるだろうと思ったし。
明日の朝、恭子さんが起きたら俺は一番に謝るつもりだ。許してくれないかもしれないが、誠意を尽くして。
許してくれるといいなあ……
「すみませんでした」
予行練習ではないが、俺は恭子さんの髪を撫でながら、小さな声で言ってみた。
すると、恭子さんはモゾモゾと動きだし、寝返りを打って俺に抱き着いてきた。オデコを俺の胸の辺りに付けて。そして、
「ナカジマくん……」
と言った。