最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
俺の苗字はナカジマだっけか?
んなわけない。俺は川田だ。川田陽平。ナカジマって誰だよ……
なんか、すげえガッカリした。恭子さんって、俺の事が好きなんじゃねえのかよ?
それで莉那先輩に紹介を頼んだんじゃねえのかよ……
もしかして、俺はそのナカジマって奴の代わりか?
恭子さんはそいつの事が好きで、本当は処女もそいつに捧げたかったが、それが叶わないから俺で我慢したとかか?
俺とそのナカジマって奴は、似てるのかもしんないなあ。
ああ、クソッ!
なんだか知らないが、無性に腹が立つ。
俺はベッドから降りて隣の部屋へ行き、引き出しを引いて使わなかったゴムを仕舞うと同時に、タバコを一本取り出した。
普段はタバコを吸わないが、たまーにムシャクシャした時なんかに吸う事がある。ちょうど今みたいに……
キッチンへ行って換気扇を回し、その下でタバコの煙を肺に吸い込むと、たちまちニコチンが体に入り、軽く目眩を覚えた。
3口ほど吸ってそれを揉み消し、ふらつく足でベッドへ戻った。そして裸で眠る恭子さんにタオルケットをちゃんと掛けてやり、その横に体を横たえると、恭子さんに背中を向けて目を閉じた。
恭子さん、あなたはいったい……
間もなく俺は、深い眠りへ落ちていった。