最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

翌朝。俺は携帯のけたたましいアラームで目が覚めたが、横に恭子さんはいない。


起き出して探したが、隣の部屋にもキッチンにも、バスルームにもトイレにもどこにもいない。最後に玄関を見たら、彼女の靴がなかった。つまり、俺が寝ている間に帰っちまったらしい。


チッ

なんか虚しいっつうか、気が抜けた。

きっと怒って帰ったんだろうなあ……



俺は会社へ行くとすぐに社内のメールで恭子さんにメールを送った。『話したいので少し時間をくれませんか?』と。

とにかく早く、昨夜の事を彼女に謝りたかったのだ。


ところが、いくら待っても恭子さんからの返信が来ない。気になって気になって仕事も手に付かない有り様だ。


俺はしびれを切らし、恭子さんの職場に電話する事にした。内線表で彼女の番号を調べて電話を掛けると、しばらく呼び出した後に男が電話に出た。


『はい、システム部ですが?』

「広告部の川田と申しますが、五十嵐さんはご在席でしょうか?」

『ああ、彼女ならたぶん休みだけど?』

「たぶん、ですか?」

軽い奴だなあ、こいつは……


『あ、ごめん。やっぱり休みだって』

「体調不良ですか?」

『さあ、ちょっとわかんない』

「わかりました。失礼します」


お堅いイメージのシステム部にも軽い奴がいるんだなあ、なんて事はどうでもよくて……

恭子さん、どうしたんだろう。大丈夫なんだろうか…….

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