最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
「主任、あんまり期待させないでくださいよ……。もっとも、はなからそんな事あるわけないですけど」
と、抗議めいた事を自重気味に俺が言ったら、主任は真面目な顔になり、
「そんな事ないわよ?」
と言った。
「え?」
「あなた、もっと自分に自信を持っていいんじゃないの?」
「はあ?」
主任が何を言いたいのかよくわからない。
「あなた、女子社員からかなり人気があるって事、知らないの?」
「はい、全然です」
「やっぱりそうなんだ。そういう所も人気の理由なのかもね?」
「と言いますと?」
「よく言えば驕らない? 悪く言えば天然、かしら」
「はあ……」
“天然”というのは言われた事がある。学生時代に。でも自分ではどこが天然なのか、さっぱりわからないのだが。
「あなた、かっこいいもの。私から見ても。言われた事あるでしょ?」
「それはありますけど、社交辞令とか、おだててるだけだと思ってました」
「なるほどね。ま、それを鼻に掛けてほしくはないけど、もう少し自分に自信持っていいと思うわよ?」
「はあ。わかりました。今度からそうします」
と言ってもなあ。莉那先輩が俺を……なんて事、あるわけがない。でも……ひょっとしてひょっとしたら……