星の雫~超極秘のお姫様~
シャボン玉は、何かに当たっても、なぜか割れなかった。消えなかった。

しかも、次々とシルクハットから出てくるから、あっという間にこの場画シャボン玉でいっぱいになった。


その光景は、やっぱり現実味がなくて、綺麗だった。

あたし以外の人も、ほぅ・・・と、物珍しげにこの場を見渡す。


いつの間にか、ここにはけっこう大勢の人々が集まっている。

皆、空中をふよふよ気ままに漂っているシャボン玉に、視線が集中している。



そんな非現実的な空間の中、レオがぱちんと指を鳴らした。


――瞬間。

シャボン玉が全て消えうせた。



「・・・・・・えっ・・・」


思わず周りを見渡すも、そこにシャボン玉はカケラもなかった。

そして、あたし以外の人々も、それぞれ驚きを露にしていた。


レオに視線を向ければ、レオはニコリと綺麗に微笑んだ。

「皆様がお楽しみになれたようで、幸いです。
ですが、そろそろ次のモノへいこうと思いますので。」


シャボン玉がいきなり消えてパチクリしていたあたしだけど、レオの『次』という言葉に、心が浮き立った。

次は一体何をするんだろう!


周りの人々が、一斉に期待の視線を向ける中。

レオは、緊張などおくびにも出さずに、飄々とした態度で、シルクハットとステッキを地面に置く。


「私は今、何も持っていませんね?」

レオが両手をひらひらさせ、あたし達はすぐに頷いた。


「そう、持っていないのです。しかし、"魔法の言葉"を言えば、アルモノが私の手の上にのります。

皆様、"魔法の言葉"を、お教えいたしますので、言ってみてくださいませんか?」


レオは、辺りを見渡し、頷いたのを見ると、ふわりと微笑んだ。




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