星の雫~超極秘のお姫様~
リーちゃんには、ただ、笑っていてほしいだけなのに・・・。



「はっはぁ~・・・。
嬢ちゃんモテまくりだなぁ。大変大変。」

僕がつと俯けば、聞こえてきたのはライドさんの面白がるような声。



「・・・・・・おじさん、頭大丈夫ですか?」


「いやいやいやいや!まだまだ大丈夫だぜ俺は!!!」


リーちゃんはモテまくりという発言におそらく怪訝な顔をしているんだろうなぁ。

だって本当、鈍感で無自覚だから・・・・・・ハァ・・・。

少しでもリーちゃんが、自分の美しさに自覚を持って、僕たちの気持ちに気付いていれば・・・。


そこまで考えて、思わず苦笑をこぼした。

何を思ってるんだ、僕は。


馬鹿らしい。

たとえリーちゃんが自分の美しさに自覚を持って、僕たちの気持ちに気付いたとしても、僕の想いが叶うわけじゃない。



リーちゃんに会う前から、決まっていた。


僕はリーちゃんの医者であり、それ以上でもそれ以下でもないと。

それ以上になることも、それ以下になることも無いのだと。


決まっていたし、知っていた。

それ以上を望んではいけないことも。



それでも。

それでも、僕は、この胸の内で時折、マグマのごとく燃え上がるこの想いの消し方を、知らないから。


だから――

いつもいつも、リーちゃんの表情とか行動に、僕の心はぐらんぐらんに揺れる。


どうすればいいか、分からなくなる。




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