星の雫~超極秘のお姫様~
気が付けば、リーちゃんが心配そうに僕を見ていた。

どうやら、心の中のもやもやに思いを馳せて、ボーっとしていたみたい。



「頭ヤバくないっつってるだろーが!
だいたい!!!腹を痛めるようなモン、俺が作るわけねぇだろうが!」


「頭ヤバイですって。だから心配になったんですよ。

ヒルゥ、大丈夫?痛いんなら痛いって言ってね。あたし、このおじさんぶん殴る覚悟はできてる!」


「は!?なんだその覚悟!俺はお嬢ちゃんに殴られたかねーぞ!」


「おじさんうるさいです!

ヒルゥ、大丈夫?痛くない?あたし、準備万端だからね!」



・・・・・・・・・リーちゃん。

痛いよ。


痛いけど、そこは、お腹じゃないんだ。



ねぇ、リーちゃん。

僕は、リーちゃんに守られなきゃいられないような、子供じゃないんだよ?


殴りたい時は、リーちゃんに殴らせたりしないで、自分で殴るよ。

リーちゃんにそんなこと、させたくないよ。


ねぇ、どうしたら僕も――"男"なんだって、分かってくれる?





「・・・・・・ううん、痛くないよ。

ただ、これまで色々あったから、ちょっとボーっとしちゃっただけ。

気にすることないよ。それに、ここの料理、とっても美味しいし。」


僕は自分の思いを隠して、隠して、笑う。

にっこりと無邪気な笑みを浮かべて、さも美味しそうに、ごろごろ野菜やお肉が入った味の濃いスープをスプーンにすくって口に運んだ。



「・・・・・・・なら、いいんだけど・・・。」




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