星の雫~超極秘のお姫様~
シオをそっと窺えば、静かな瞳とぶつかった。


あぁ―――

忘れていたわけじゃないんだ。
ちゃんと覚えていた。

だからこそ悩んでいたんだ。


僕と同じ境遇のシオとソウ・・・。

想いも願いも現実も、全て一緒。
違うのは、それぞれの役割くらいだ。


だから、かな。

僕達は互いを時折牽制しあう。


そうして、均衡を保とうとしているんだ。

それぞれの気持ちも想いも全部、隠し通そうとしているんだ。



だから僕は、レオと軽い冗談のような言い合いの後、すぐにあっさりと言ったんだ。

『僕のモノにはならない』と。
『誰のモノにもならない』と。


ソウとシオの顔を見たら、熱くなって忘れていた事を思い出したんだ。

無理だという、忘れていた事実を思い出した。


だから、あんな風に言ったんだ。

けど、今思うとあれは―――負け犬の遠吠えみたいなものだったな。


僕のモノにはならないけど、君のモノにもならないよ。

それは、一歩を踏み出す事さえできない僕の、悔し紛れの言葉。


確かに事実だけど、たぶん事実なんかじゃなかった。



リーちゃんは誰のモノにもならない、なれない。

そう決まっている。


だけど、決めたのはあの方であってリーちゃんじゃない。


あの方が決めたのは立場とか表のものだけ。

そこにリーちゃんの心は含まれていない。




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