星の雫~超極秘のお姫様~
強い意志の光が、綺麗な瞳に宿る。

彼女は自らの一族の裏切りを許さない。




彼女が決意を固めている中、1人の老人は虚ろな瞳でぼんやりと宙を眺めていた。

そんな老人を注意深く見つめる男が1人ーー吸血鬼のリーダー、バースだ。




(魔術師のリーダーであるホワイさん・・・前に会ったときと随分雰囲気が違うな。

こんなときにボーッとしているなんてありえない人だった。威厳を纏った、尊敬に値する"年上の人"、というイメージだったのだが・・・

おかしいな。今はただの老人にしか見えない。)




そしてそんなアスクとバースを見て、心の中でクスリと笑みを漏らした娘が1人。



(ふふっ・・・すこーし気づいてきたみたいね、アスク様もバース様も。

まぁ、想定内の範囲だけど。)


可愛らしい顔を"表面上は"不安そうに曇らせている白き魔女ーールネイだ。


(まだまだ核心には程遠い。
アスク様なんて、わたしを"1番の部下"として同席させるくらいだもの。

裏切り者はーーこれを裏切りとするならだけどーーこのわたしなのに。)



白き魔女は思い出す。

彼の言葉を。





『何も知らないままで、後悔しないって、言い切れんのかよ。

それが正しいって、断言できんのか?

"お前は"それでいいって思ってるわけ?
ーー本当に?』




(ここにいる人達への"裏切り"が、悪いことだなんて、誰が言い切れるのかしら。

何が正解かなんて、わからないのに。)





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