どす黒い涙は世界を救わない
カチーンと道路にジッポのライターが落ちる。
僕は、それを拾おうと屈むが上手く屈めず膝をついてしまう。
何とかライターを拾い立ち上がる。
そのまま道路に寝転びたかったが、それをすると起きれないのはさすがの頭の悪い僕でも分かるんだよワトソン君。
ホームズはどんな気分で、ロンドンの街を歩いたのだろうか?彼は阿片中毒だったはずだとふと思い出す。
若い連中ならググって調べるのかも知れないが、僕は、明日この記憶があったとしてもそれをしないだろうと確信があった。
今日たまたま隣に座った顔見知りの元スタジオミュージシャンだと自称する高慢で、肥った女は僕に最近どんな音楽聞いてるのと聞いてきた。
僕は、古いレゲエとかブルースにはまってきてるけどもちろんロックも聞いてるよと仕方なく笑いながら答えた。
するとその女は黒人なんて聞かないでよと、のたまった為に僕の中でやはりこの女とは話したくないなと言う気分が更に高まり焼酎をあおったのを覚ている。