Destiny
「先生…」


私が早川先生の腕の中で呼ぶと先生は身体を離して目を合わせてくれた。


「先生、私全てを受け入れます。病気も治療も告白も…だから、もうこんなことしない。」


私はしっかりと伝えてから早川先生に左腕を差し出した。


手首にはまだ厚く包帯が巻かれていて、痛んだけど、あの絶望の中の心の痛みはなくなっていた。


「ありがとう。俺が有紗を幸せにする。病気も…治せないかもしれないけど、病気のこと気にしないくらいまでにしてみせる。」


そう言って、私の左の手首をふんわりと包んだ。


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