Destiny
病室に戻ると早川先生は私を優しくベッドに下ろした。


「もう脱走なんて考えちゃダメだよ。どこかで倒れたりしたら大変だから…」


私は何も言わなかった。


「あと、これからのことなんだけど…」


申し訳なさそうに早川先生が言うから私はそれを遮って言った。


「治療は受けません!」


早川先生は驚いたようで、目を見開いた。


「何で?」


「私の人生は私が決めます。」


「今は症状が落ち着いてるからいいけど、いつまた悪化するかわからないんだよ…」


「私は大丈夫です。」


それしか私には言えなかった。


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