ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
不審者扱いされないよう、青乃臣は通行人のフ リをしてグラウンドの様子を視界に入れた。
ラークリマ入手の手がかりをつかむべく、本当 ならばじっくり人間観察をしたいが、そういう わけにはいかない。
日本人の17歳は、通常、高校生という立場に 身を置いている。
未来に指示され、外出中はタキシードを脱ぎ、 一般的17歳に見える服装をしているが、いつ 、誰に怪しまれるか分からない。
ラークリマを入手できるその日まで、問題を起 こさず過ごすのが青乃臣の目標だった。
それまでとは違うゆったりした足取りで、青乃臣はグラウンドを観察した。
“未来様も、今頃このイベントに参加している のでしょうね”
体操服を着た生徒達の群れに注目しつつ、青乃臣は顔の前に手をかざし、左から右に素早く振 った。
「我に力を授けて下さる空の守り神よ。
我に選別の目を与えたまえ。
ドルチェ ノード
ミオ セルビール
ミア ベラ
センプレ ヴァメーロ」
グラウンドに集まる女子生徒達に光がちりばめ られた。
それはダイヤモンドのカケラのように、太陽の 光を反射して透明な輝きを放つ。
突然の出来事に生徒たちは騒ぎ出してしまった 。
教師達が、みんなを落ち着かせている。