ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

「……!! ここは」

次の瞬間、未来は目を見開いた。

見覚えのある室内。

彼女は、青乃臣と共に自宅に戻っていたのであ る。


青乃臣は未来の手をそっと離し、

「ここは、いま私がかしていただいている部屋 の中です。

こちらを見て下さい」

案内役のウェイターのような身振りで、青乃臣 は窓を示した。

青乃臣が手をかざすと、窓ガラスに、音のない 映像が映った。

未来の目に映るのは、自然豊かな景色。

透明な海。緑色の鮮やかな山。

だが、空は灰色にそまり、せっかくの自然色も 暗く見えた。

山道に落石が起き、絶え間なく訪れる竜巻が森 の木々を吹き飛ばしている。

「こちらは、クロロプラスト王国が統治するア ムドシア郷の現在の様子です。

リアルタイムに映しています」

「青乃臣……。本当に魔術師だったんだね…… 」

瞬間移動させられたことをはじめ、魔法のよう な力を持つ青乃臣を見て、未来は息をのんだ。
< 128 / 308 >

この作品をシェア

pagetop