ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
「……!! ここは」
次の瞬間、未来は目を見開いた。
見覚えのある室内。
彼女は、青乃臣と共に自宅に戻っていたのであ る。
青乃臣は未来の手をそっと離し、
「ここは、いま私がかしていただいている部屋 の中です。
こちらを見て下さい」
案内役のウェイターのような身振りで、青乃臣 は窓を示した。
青乃臣が手をかざすと、窓ガラスに、音のない 映像が映った。
未来の目に映るのは、自然豊かな景色。
透明な海。緑色の鮮やかな山。
だが、空は灰色にそまり、せっかくの自然色も 暗く見えた。
山道に落石が起き、絶え間なく訪れる竜巻が森 の木々を吹き飛ばしている。
「こちらは、クロロプラスト王国が統治するア ムドシア郷の現在の様子です。
リアルタイムに映しています」
「青乃臣……。本当に魔術師だったんだね…… 」
瞬間移動させられたことをはじめ、魔法のよう な力を持つ青乃臣を見て、未来は息をのんだ。