ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
「こんなことまでできるの?」
「私の魔術は、少々特別なのです。
なぜなら、私は《空の守り神》の加護を受けた 魔術師ですから。
どの世界にいても、神の力は享受(きょうじゅ )できるようです。
偉大なる大空から、魔術変換に必要なエネルギ ーを受け取り、こうしてクロロプラスト王国の 様子をガラスに映すことができるのです」
「毎日、こうやって自分達の国の様子を見てた んだね。
アンタ達の国、とても平和とは思えない。
すごく荒れてるじゃん……」
未来は深刻な顔で映像を見つめる。
「そうなのです」
青乃臣は冷静さを保ちつつも、額にひとすじの 汗を流した。
「日本に来たばかりの頃、私は楽観的過ぎたか もしれません。
ラークリマを失った私達の国は、こうして常時 、異常気象に見舞われています。
晴れているのに氷の雨が降り注ぎ、大地が乾い ているのに雪が降る……」
「でも、ラークリマの手がかりはつかんだんで しょ?
だったら、早くラークリマを探し出して国に持 ち帰ったら?」
「そうしたいのは山々なのですが、私にはその 権限も、素質も、ありません。
エルク様の手助けをするのみ……。
エルク様にしか、ラークリマを入手することは できないのです」