ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
青乃臣は温和な表情で、
「エルク様。人を好きになるのに、理由などあ りませんよ」
「そうなのか?
そういうモン?
ふうん……。なんか、実感こもってんな」
エルクは青乃臣の顔をまじまじと見る。
普段、滅多なことで取り乱さない青乃臣の口調 は、いつになく熱がこもっているように感じら れた。
青乃臣は苦笑し、
「実感がこもっているのも、無理はありません ね。
身の程知らずと言われてしまうかもしれません が、私も未来様のことを好きになってしまいま したから。
人それぞれ多少の違いはあるでしょうが、『嫉 妬』や『相手と親密になりたい気持ち』は、恋 愛している人間の代表的感情とも言え、大きな 特徴でもあるのです。
現在のエルク様は、私に対する嫉妬心が際立っ ています。
もし、未来様に対し特別な感情を抱いてみえな いのであれば、私と彼女が会話していても、エ ルク様は何も感じないはずです」
「なるほどな。このわけわかんねぇ感情のタイ トルを『嫉妬』と言うのか」
「日本語的に『タイトル』は間違っていますよ 、エルク様」