ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
複雑な表情で背もたれに身を沈めるエルクを見 て、青乃臣が告げた。
「告白ついでにもうひとつよろしいでしょうか ?」
「なんだよ」
「未来様はラークリマの持ち主です。
今日判明し、未来様にもそうお話いたしました 」
無感情な電話の時報を思い出させる口調で、青乃臣は言った。
「ただ、未来様の中にあるのはラークリマの新 芽。
今後、彼女の体験する出来事により、ラークリ マの育成状態が左右されると言っていいでしょ う。
ラークリマの芽が途中で枯れてしまわないよう 、慎重に見守る必要があります」
「何だって!?」
興奮のあまり、エルクも立ち上がり、直立する 青乃臣と向き合った。
「未来様は、ただでさえ繊細な心の持ち主。
それに加え、未成年の女性は傷つきやすい傾向 があるそうです。
俗に言う『思春期』真っ只中。
未来様は、多感な毎日を過ごしながら、少しず つ、子供から大人の精神へ移っていかれます。
なおさら注意した方が良いです。
もちろん、私は全力で未来様をお守りいたしま す」