ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
そうすることが当然と言うように、青乃臣は自 分の役割を口にした。
エルクは思う。
“コイツ、本気で未来のこと……”
執事として働く以上、私情を隠し主人のために 仕えなくてはならないと、青乃臣は考えている のだろう。
青乃臣の性格や忠実さを、何より知っているの もエルクだった。
だからこそ、焦りも生まれる。
「……お前にばっかり、いいカッコはさせねぇ 」
「エルク様……?」
「お前ばっかり活躍して、王子様の出番が全然 ねぇじゃん!」
エルクはさきほど読んだ絵本のラストページを 開き、青乃臣の目線の高さに掲げた。
「このストーリーでは、王子様がバンバン活躍 してるのに、何で現実では執事ばっかり前に出 てくるんだよ、変だろ!?
何がなんだろうと、未来を守るのは俺様だ!」
「エルク様、未来様への恋心をお認めになりま したね」
分析しつつ、からかうような物言いをする青乃臣。
「ああもう! そうみたいだな!
俺様はこっちに来てから、体質だけじゃなく人 間に対する趣味まで変わったらしい」
「ここへきて、まだそんなことをおっしゃるの ですか。
エルク様らしいですけれどね」
青乃臣は、理解ともあきれとも取れる返しをし た。