ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

ここは、某私立中学校の門前。

学校のシンボルカラーでもある淡いスカ イブルーをしたタイルに、まんべんなく 夕日が照り付けている。

今年の春、中学生になったばかりの少 女・包里未来(かのさと・みらい)は、 ため息をつきながら学校を後にした。

下校時間である。

入学式の日に満開だった桜はすでに散 り、枝のすき間を埋めるように、緑の葉 が顔をのぞかせている。


路上で踏み潰された桜の花びらを見て、 未来の気分はますます重くなった。

未来が身につけている、スカイブルーの チェックスカートと白いブレザー。

世の中で『爽やか』だと評価される制服 は、彼女の物憂げな表情を強調してい た。


部活をしている生徒は校内に残り、帰宅 部や習い事をしている生徒は仲の良い友 人達と帰宅している。

いつも通り。

何の変化もない下校風景を横目に、未来 は一人、自宅に向けて歩を早めた。

「……あーあ。つまんない。

勉強なんて、家庭教師呼んでやってれば 充分じゃん。

学校なんて、無くなればいいのに」

未来は学校が嫌いだった。
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