ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
珍しく気まずそうに口をつぐむ青乃臣。
エルクは、返事を待たなければならない現状に 我慢できず、青乃臣のこたえを急かした。
「なあ、教えてくれよ!
ただでさえ、俺様は日中寝っぱなしなんだ。
お前みたいに魔術も使えない。
フェアにいこうぜ!?」
青乃臣には、未来を取り合うべくエルクとライ バル争いをする気など全くなかったが、そう勘 違いされるくらい閉口を保ったのには他の理由 があった。
「……特別な訓練を受け、自然の神の加護を受 けている魔術師の血を吸えば、エルク様は異能 の力を授かることができます。
ただ、それは恒久(こうきゅう)的な力ではあ りません」
「魔術師の血、だって?」
エルクは首をかしげる。
青乃臣は悩ましげな表情でおでこに片手をやり 、目を伏せる。
「今、この星には、私以外の魔術師は存在しま せん。
つまり……。私の血を吸えば、エルク様は一時 的に強くなれます」
「お前の血を……!?
魔術師の血じゃなきゃダメなのか!?」
「そういう反応が返ってくるとは思いませんで した。
青い顔で『男の首筋に唇をつけるなんて…!』 みたいなセリフを返されるとばかり……」