ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

エルクは、拍子抜けする青乃臣の拍子をさらに 抜かした。

「そうか…! ここにはお前以外の魔術師はい ないんだもんな……。

俺様の住んでた世界とは勝手が違うみたいだし 」

エルクは思案顔で片手をアゴにやる。

「人間の血なんか吸いたくもないけど、未来の ためだよな。

お前の血を吸う日が来るなんて、想像したこと もなかったぜ」

エルクの中では、抵抗なく計画が進んでいた。

「さ、首筋出せ。

すぐに終わらせる」

青乃臣は後ずさり、

「もっ、申し訳ございませんが!

いま初めて、エルク様の命令を拒否したいと感 じました。

執事失格ですね……」

「なんでだよっ!

ここに連れてきたのはお前だろっ!?」

「ええ! その通りですっ、ですがっ!」

一歩一歩、じわじわ迫られる青乃臣。

エルクから逃げつつ、彼は必死に言い訳を考え た。
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