ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
今のところ、未来の体内からラークリマを取り 出す方法は分からないが、青乃臣も、今は焦っ てはならないと判断したようだ。
エルクは青乃臣の言動を思い出す。
“アイツ、あんなに『ラークリマラークリマ』 ってうるさかったのに、ラークリマの芽が未来 の中にあるって分かった瞬間、急に大人しくな ったよな”
クロロプラスト壊滅の危機から始まり、エルク の寿命や体質の変化が現れた今、青乃臣も焦り を覚えているに違いない。
だが、未来の中にラークリマが芽生えたと知っ てから、青乃臣は秘宝探索意欲を半減させたよ うに見える。
「任務に忠実で、命令には絶対従うようなヤツ だったのに。
ジョーがあんな風に変わると、こっちもちょっ と調子狂うな」
思わず、独り言が漏れる。
勢いをつけてベッドから起き上がり、エルクは カーテンのかかっていない窓の外を見た。
近所の家屋が、夜の中にびっしり埋めつくすよ うに並んでいる。
クロロプラスト王国とは違う風景が広がってい た。
「今頃、アムド城のヤツらはどうしてんだろな ……」