ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

トマトジュースに、バナナのショートケーキ。

未来の好物はたくさんあるけれど、中でも、柿 が好きだと彼女は言っていた。

昔、それを知った同級生達に笑われても、未来 が嫌いになれなかった果物。

それを収穫してこっそり未来の枕元に置いてお けば、彼女は喜ぶかもしれない、と、エルクは 考えたのだ。

「んー。別に枕元にこだわる必要はないんだ。

直接渡してもいいけど、でもやっぱり、何か恥 ずかしいしなぁ。

それに、そんなやり方俺様らしくないし」

「誰に何を渡すおつもりですか?」

「ジョ、ジョー……!」

エルクはベンチから転げ落ちそうになった。

ベンチの背もたれを挟んだナナメ後ろに、青乃臣が立っている。
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