ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

「もしかして、未来様のために何かを探してみ えたのですか?」

「ああ。柿の木探してた。

もぎたての柿を、未来に食べさせてやりたくて さ。

見つからなかったから、もう、意味ないけど。

っていうか、お前は、未来を家に残してこんな とこまで来て、大丈夫なのかよ」

エルクはつまらなさそうにそうつぶやいた。

「ご心配には及びません。

何者も近付けないよう、屋敷には魔術防御陣を 張り巡らせてきました。

少々気力を消耗しましたし、数時間しか効果は ありませんけれど。


それと、エルク様。

柿は秋に実るものです。

今は春。柿の木を見つけられたとしても、実は 収穫できません。

それに、許可なく他人の畑から実を収穫するの はいけないことなのですよ」

「そうだったのか。

知らなかったぜ」

青乃臣の言葉に納得し、エルクは弱気な表情で 腕を組んだ。

未来への配慮といい、柿に関する知識といい、青乃臣の言動を見て、エルクは少しだけ自信を なくしてしまいそうになった。
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