ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
“ジョーは前からこういうヤツだろ!?
何、弱気になってんだ、俺様はっ!”
気を取り直し、エルクは質問する。
「ハルとかアキって、何なんだ?」
「日本の季節を表す言葉ですよ。
今は4月なので、春と呼ばれる時期にあたりま す。
もし、私達がもう少し早く日本に来ていたら、 エルク様にも素敵な春の景色をご覧いただけた でしょう。
お見せできなくて残念です。
この公園にも、桜という木が何本か植えられて います。
桜は春になると桃色の花を咲かせ、景色を明る くし、柔らかい風景を作ってくれます。
私達の居たアムドシア郷は年中春のような気候 を保っていましたが、桜は存在していませんで したね。
また、日本の天候はアムドシア郷とは違い、四 季が存在します」
「しき?」
「はい。春夏秋冬です」
青乃臣はベンチを離れると近くにしゃがみ、土 の地面に、指で《春夏秋冬》と書いた。
「夏になると暑くなり、太陽の日差しが肌を焼 きます。
秋は枯れ葉が地面を舞います。
冬は、夏の真逆の季節と言ってもいいでしょう 。寒くなり、絶え間なく降り注ぐ雪が、景色全 体を真っ白に染めます。
冬は冬で、春の桜景色とは違う美しさがありま すよ」