ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
エルクが柿の木探しをした夜から数日後 の、ゴールデンウイーク前日。
やはり、エルクのヴァンパイア体質は変 わりそうにない。
未来が学校に行っている間、エルクは眠 りという名の魔物にとりつかれたままだ った。
眠気をさますためにカフェイン入りの飲 み物を飲んだり、刺激の強いガムを食べ ても、エルクには全く効果無しだった。
ゴールデンウイークは自由に過ごせる!
放課後、クラスメートの誘いを適当に断 りつつ、未来は弾んだ足取りで自宅を目 指した。
明日から、彼女が心待ちにしていた連休 が始まるのだ。
未来が門をあけると、屋敷の前には広大 な芝生の庭が広がっている。
以前までは寂しげだった庭も、最近にな り変わってきた。
芝生の緑が鮮やかになった気がする。
青乃臣が世話をしてくれているおかげだ ろうか?
いつもは、未来が帰宅するこの時間、青 乃臣は庭の木や花に水をやっているはず なのに、今日に限って彼の姿はなかった 。
「青乃臣、いないの?
お腹すいた。
今日のおやつ何ー?」
すっかり定番となった青乃臣の手作り菓 子を期待し、未来は庭を見渡した。