ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
未来から電話を受けた稔は急きょ店じまいをし 、未来の家に駆け付けた。
書庫に倒れていた青乃臣を抱き抱えて彼の寝室 に寝かせた稔は、リビングに戻るとソファーに 座り、疲労に満ちた息を吐いた。
「久しぶりに、本以外で重いものを運んだなぁ 」
青乃臣の体重は平均より軽いが、身長が高い。
意識を失っていたせいで青乃臣の重みは増して いたので、それを高齢の体で横抱きにして運ぶ のは、稔の体力的にもきつかった。
だからこそ、未来は稔のことを見直していた。
「おじいちゃん、意外と頼りになるね。
私じゃ絶対、青乃臣を部屋まで運ぶのムリだっ たし」
「まぁなぁ。昔は、このくらい朝飯前だったん じゃがなぁ、歳を取るとあちこち鈍ってかなわ んわぃ。
しかし、未来にほめられる時が来るとはのぅ。
嬉しいやら怖いやら、複雑な気分じゃ」
深いシワをさらに深くし、稔は笑った。
その顔はどこまでも幸せそうである。