ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
未来は照れ隠しに腕組みをして窓際に立ち、稔 に背を向ける。
すっかり夜になっていた。
「青乃臣さんのことが心配だから、今日はここ に泊まらせてもらうよ」
未来の背中を見て、稔が言った。
「未来。エルクさんや青乃臣さんと仲良くやっ とるようじゃの。
ワシは、安心した。
楽しそうにやっとるのぅ」
「いまさらだね。
おじいちゃんが無理矢理同居させたクセに、よ く言うよ」
「何か、変化はあったかの?」
未来は稔を振り返り、
「変化って?」
「エルクさんの国に伝わる秘宝の件じゃよ。
もうそろそろ、何か変化があってもいい頃じゃ 」
元々そういう話に興味を示すタイプなだけあっ て、稔の目は輝いていた。
倒れた青乃臣を心配していても、稔のファンタ ジー好きは永遠に揺るがないらしい。
「さあ。知らなーい」
未来はあえてとぼけることにした。
“私の中にラークリマがあることをおじいちゃ んなんかに知られたら、朝まで質問責めされる に決まってる!”
そう考えるのは、一種の防衛本能である。