ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

未来は照れ隠しに腕組みをして窓際に立ち、稔 に背を向ける。

すっかり夜になっていた。

「青乃臣さんのことが心配だから、今日はここ に泊まらせてもらうよ」

未来の背中を見て、稔が言った。

「未来。エルクさんや青乃臣さんと仲良くやっ とるようじゃの。

ワシは、安心した。

楽しそうにやっとるのぅ」

「いまさらだね。

おじいちゃんが無理矢理同居させたクセに、よ く言うよ」

「何か、変化はあったかの?」

未来は稔を振り返り、

「変化って?」

「エルクさんの国に伝わる秘宝の件じゃよ。

もうそろそろ、何か変化があってもいい頃じゃ 」

元々そういう話に興味を示すタイプなだけあっ て、稔の目は輝いていた。

倒れた青乃臣を心配していても、稔のファンタ ジー好きは永遠に揺るがないらしい。

「さあ。知らなーい」

未来はあえてとぼけることにした。

“私の中にラークリマがあることをおじいちゃ んなんかに知られたら、朝まで質問責めされる に決まってる!”

そう考えるのは、一種の防衛本能である。
< 186 / 308 >

この作品をシェア

pagetop