ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

「そういえば、青乃臣さんのことじゃがなぁ……」

体力を回復させたのか、稔はソファーからゆっ くり立ち上がり、窓際の未来に近付いた。

「青乃臣が、どうしたの?」

「昼間、ウチの店に来てなぁ。

柿の木の場所を訊かれたよ。

エルクさんが、秋になったら柿を収穫したいと 言っておるらしくてのぉ。

今のうちに、収穫を許してくれるような柿畑の 持ち主を探しておきたいと、青乃臣さんは言っ ておった。

なにやら必死な様子じゃった」

「エルクが、柿を収穫したがってる…?」

予想外だったようで、未来は困惑している。

「そうじゃ。青乃臣さんの話じゃと、ゆうべ、 エルクさんがこの近所で柿探しをしておったそ うでな。

今、このあたりは柿畑も少ないし、あるとして も、畑の所有者さんが収穫許可をくれるかどう かは分からんから、店で買った方がいいと言っと いたんじゃが……」


『出来れば、自分の手で収穫したものを未来様 に食べさせたい。

エルク様はそうおっしゃっています』

青乃臣は、稔に柿畑の場所を尋ねると同時に、 そう言っていたそうだ。
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