ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
未来は、エルクと青乃臣に小学生時代の話をし た時のことを思い出した。
「あんなに必死に柿畑を探しているのは、未来 のためじゃないかのぅ?
昔、ワシの畑で取れた柿を、嬉しそうに食べと ったじゃろ?」
「まあ、そうだけど……」
ぶっきらぼうな口調は、心の裏返し。
未来の胸は熱くなっていた。
グチ同然に放った過去の話だし、すぐに忘れ去 られてしまうものだと思っていた。
“青乃臣とエルクは、そこまで私のことを考え てたっていうの……?”
今まで、誰かに自分の中身を気遣われたことが なかった未来。
彼女は常に、学校のカリスマ的存在で、一見、 みんなの感心を集め心を満たしているように見 えるけれど、未来の求めていたのは“評価”で はなかった。
評価は、自分の弱さを隠す防具であり、居場所 を確保するための手段でしかない。
未来が心底求めていたのは、誰かに、ありのま まの自分を受け入れてもらえること。
それは、長年「無理だ」と諦めてきたことでも ある。