ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

未来は、エルクと青乃臣に小学生時代の話をし た時のことを思い出した。

「あんなに必死に柿畑を探しているのは、未来 のためじゃないかのぅ?

昔、ワシの畑で取れた柿を、嬉しそうに食べと ったじゃろ?」

「まあ、そうだけど……」

ぶっきらぼうな口調は、心の裏返し。

未来の胸は熱くなっていた。

グチ同然に放った過去の話だし、すぐに忘れ去 られてしまうものだと思っていた。

“青乃臣とエルクは、そこまで私のことを考え てたっていうの……?”

今まで、誰かに自分の中身を気遣われたことが なかった未来。

彼女は常に、学校のカリスマ的存在で、一見、 みんなの感心を集め心を満たしているように見 えるけれど、未来の求めていたのは“評価”で はなかった。

評価は、自分の弱さを隠す防具であり、居場所 を確保するための手段でしかない。

未来が心底求めていたのは、誰かに、ありのま まの自分を受け入れてもらえること。

それは、長年「無理だ」と諦めてきたことでも ある。
< 188 / 308 >

この作品をシェア

pagetop