ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
未来はわなわなし、
「ちょっと、そんなこと勝手に決めない でよ!
エルクとか宝って、何の話?」
「お前ひとりじゃ、この屋敷の管理は難 しいじゃろ?
久しぶりに来てみたが、廊下や棚も、ホ コリだらけだったじゃないか」
「試験前で、ちょっと忙しかっただけ! いつもは、もっとちゃんと掃除してる し……」
ぶっきらぼうながら、ウソをつく未来の 声は弱々しい。
男性は彼女の言い訳を見事にスルーし、
「エルクさんと青乃臣さんじゃが、先週 はワシんちに住まわせていたんじゃよ。
しかし、ウチは狭い。
青乃臣さんも、タダで居候するのは嫌だ と言っててのぅ」
未来は反発した。
「だったら、最初っから一緒にここに住 めば良かったじゃん。それを先に嫌がっ たのはおじいちゃんの方だよ?
何がいいのか知らないけど、あんなボロ 屋に住むって言って聞かなかったクセ に。ガンコ者っ」
公園で、エルク達に声をかけた初老男 性。
彼は、公園前の書店の経営者であり、未 来の祖父でもあった。
「ワシはなぁ、こういう、いかにも金持 ちっぽい家は苦手なんじゃよ。
肩が凝るし、気も休まらん。
未来も、よく分かっておるはずじゃ」