ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
「柔軟剤をお使いになられたのですか。
申し訳ありません、私はそれを使用していませ んでした」
二人の帰宅に気付いた青乃臣が、夜間服のまま リビングにやってきた。
王宮の神官を連想させるシンプルな寝具は、そ れはそれで、落ち着いた美形男子の青乃臣に似 合っている。
「起きてきて大丈夫なのか!?」
興奮気味に尋ねた後、エルクは伏し目がちに言 った。
「洗濯も、今日やってみるまで、あんなに大変 だなんて知らなかった。
お前はそれを、毎日やってくれてたんだよな。
改めてわかったけど、お前には倒れるほど迷惑 ばっかりかけて、悪かったな」
青乃臣は目を見開き、
「そんな、とんでもございません!
全て私の不手際です。
体調管理のできない執事など、執事失格です… …。
エルク様のお役に立つのが私の役目。
ですから、どうか謝らないでください」
「そういうの、こっちではナシなんだろ?」
エルクは強気なまなざしになる。
「お前、日本に来たばかりの頃、俺様に言った よな。
こっちにいる間は、王子だとか跡継ぎだとか、 そんな身分は関係ないって。
国を救うために日本になじんで、未来に感謝し ろって、言ったよな」
「ええ……。たしかにそう言いましたが……」
「だったらお前も、ここでは執事じゃない。
まあ、執事は執事なんだけど、なんつーかな。
俺様の友人みたいなノリで、頼ってくれよ。
やれることはやるからさ」