ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

「おい、ジョー、しっかりしろよっ」

青乃臣を支えながら隣のリビングに移動し、エ ルクは困惑した。

スーパーからの帰り道、樹里の妹がこう言って いたのだ。

『お姉ちゃんの肩が早く治るように、今日はみ んなで焼肉食べるんだよ。

ニンニクを食べると、元気になるんだって~』

樹里の症状にニンニクが効くのかどうかは不明 だが、幼い妹は嬉しそうにそう話していた。

エルクは必死に言い訳をする。

「ニンニクは弱ってるヤツが元気になるからい いって聞いたからたくさん入れたのに、なんで 倒れちゃうんだよ!」

「エルク様のおっしゃっていることは間違って おりません。

ニンニクには疲労回復や滋養強壮をはじめ、老 化防止、糖尿病やガンを予防するなど、人にと って喜ばしい様々な効果があります。

コレステロールを抑制したり、ストレスや便秘 を解消するなど、優秀な食材であるのは間違い ありません。ですが……」

にんにくパワーに昏倒しリビングのソファーに 横たわった青乃臣は、力無く説明した。

「臭いがキツすぎるのですよ。

エルク様。パスタソースにニンニクを混ぜる場 合は、隠し味程度に少量で充分なのです。

それに、一度に大量摂取すると、胃腸の弱い方 は胃を痛めてしまいます。

毎日少しずつ摂取するのがもっとも効果的な方 法なのですよ。

もっとも、私は当分の間、ニンニクはご遠慮し たいですけれど……」

弱々しい声で説明し終えると、青乃臣はそのま ま目を閉じ、意識を失った。
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