ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
朝9時。鳥の鳴き声を耳にしながら洗濯を終え 、青乃臣はダイニングに向かった。
柔軟剤の匂いが残った手で、エルクと未来が買 ってきてくれた食材をチェックする。
昼には未来が起きてくるので、それまでに昼食 の献立を考えなくてはならない。
「ピーマンと、ひき肉。
ピーマンの肉詰めにしましょうか」
冷蔵庫の中の野菜やパック詰めされた肉を手に し、青乃臣がつぶやいていると、何の前触れも なく背後から白い光が照りつけた。
「これは……!」
食材をしまい、青乃臣が素早く背後を振り向く と、そこには、驚くべき人物が立っていた。
「青乃臣、ようやく見つけたぞ」
威圧感を漂わせて直立する中年男性。
彼はエルクの父であり、クロロプラスト王国の 国王だった。
「カンタスターレ様……!」
青乃臣は後ずさり、警戒心をあらわにした。
ラークリマを持ち逃げし、アムド城の人々に混 乱を招いた人物が、姿を現したのである。
【7 動き出した現実…終】