ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
「もう、おじいちゃんの夢物語は聞き飽 きた」
靴を脱ぎ、未来は2階の自室に向かっ た。
昔はワクワクしながら稔の話を聞いてい たものだが、現実を知って以来、未来は 祖父のことを小バカにするようになって いた。
“いつまでも夢みたいな話ばっかりし て。
私だって、もう子供じゃないんだから”
冷めた気持ちで階段をのぼり、廊下を歩 くと、普段と何かが違うことに気付い た。
風雨で汚れていた窓ガラスは綺麗に磨か れ、透明に。
稔の指摘通り、未来が掃除をサボったこ とによりホコリまみれだった廊下や棚も 綺麗に拭かれ、チリひとつなくなってい た。
どことなく、空気のよどみもなくなった 気がする。
“さっきの青乃臣ってヤツがやってくれ たの?”
未来は、少しだけ初対面の青乃臣を見直 した。
“まあ、召し使いにだったらしてやって もいいかな”
上から目線で青乃臣の雇用を視野に入れ る。
見知らぬ地に足を踏み入れたような心地 で、未来は自室の扉を開けた。
見慣れた部屋に、何やら物色中の少年が いる。
集中しているのか、彼は未来の姿に気付 かない。
「ちょ、アンタ誰?
人の部屋で何してんの!?」
未来は思わず、悲鳴に近い声を出し、彼 をにらんだ。
相手の歳は、未来とそう変わりない。