ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
「ラークリマが失くなれば、エルクは自由の身 だ」
カンタスターレは憂(うれ)いた口調で言った 。
「アムド家当主は、代々、国を治め、ラークリ マを守らなくてはならない。
ラークリマが失くなれば、そんなしがらみから も解放され、エルクは自分の思うがまま、好き な人生を歩いてゆける。
国民も、ラークリマの魔力に頼らず、自力で道 を切り開くたくましさを身につけるだろう。
なのにお前は、ラークリマを探すと言い出し、 エルクをこんなところまで連れ出した。
私の意図を汲(く)んでエルクを解放してやれ ばよかったものを…!
なぜ、そうしなかったのだ!?」
「クロロプラスト王国が好きだからです」
国王の威圧的な物言いに、青乃臣は屈しなかっ た。
「表向きには知られていませんが、ラークリマは 、私のご先祖様が大昔に残して下さった宝石で す」
カンタスターレは、目をむいた。
城にいた頃、青乃臣は自己主張をしたことがな かったからである。