ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

未来の部屋をあさっていたのは、王子エ ルクであった。

先日からエルクの面倒を見てくれていた 本屋の老人が、今日彼に、この屋敷をか してくれることになった。

つい、さきほどの話である。

意気揚々と屋敷に足を向けるエルクの横 で、執事・青乃臣はこう言っていた。

『ただ、お世話になるだけではいけませ ん。

私達は、異世界旅行を楽しみに来たわけ ではないのです。

1日も早くラークリマを入手するため、 《女性》について情報を集めなくてはな りません』

本屋の初老男性・稔いわく、この部屋は 彼の孫娘の部屋だとか。

女性の部屋なら、ラークリマにつながる 情報が見つかるかもしれない、と、エル クは考えたのだ。


鬼のような形相でエルクに詰め寄る未 来。

エルクは必死に言い訳した。

「おい! そんなに怒るなよっ。

俺様は、国を助けるために情報を集めて いただけなんだっ!」

「どう考えたって泥棒にしか見えないん だけど?」

未来は、エルクを怪しむばかりだった。

見知らぬ少年が、何の前ぶれもなく室内 をあさっていたら、そう考えてしまうの も仕方ない。
< 25 / 308 >

この作品をシェア

pagetop