ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

「『泥棒』って何だよ?

悪いヤツのことか?」

素で、『泥棒』の意味が分からないエル ク。

クロロプラスト王国に、そんな単語はな かった。


“こいつ、変……。

おじいちゃんの話といい、今日は変なこ とばかり起きるなぁ……”

目の前の少年に頭を悩ませつつも、未来 は眉をつりあげた。

「そうだよ、悪いヤツのこと!

人のものを勝手に盗むヤツを、泥棒って 言うの。

つまり、アンタのこと!」

「ちょっと待て!

俺様を夜盗なんかと一緒にすんなっ!

これでも、正当な王位継承者だぞ?

盗みなんて、野蛮なことはしないっつー の!」

「だったら、何で私のチェスト勝手に開 けてんの?

ていうか、『夜盗』って、夜に盗みをす るヤツのことだし、それを言うなら『盗 賊』!…じゃなくて!

分かるように説明して!」

「だから! 情報集めをしてただけなん だって!

ラークリマって秘宝を手に入れなきゃ、 俺様は国に帰れないんだよぉっ」

未来とエルクは、互いの言い分を理解で きず、ひたすらにらみあう。


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