ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
未来は、樹里のことを分かる範囲で話した。
青乃臣はあいづちを打つと、スッと席を立ち上 がり、
「ご安心ください。樹里様のお怪我(けが)、 魔術で何とかできるかもしれません」
青乃臣は、カンタスターレが残していったラー クリマの魔力を使い、樹里の肩が治る魔術ドリン クを作ると提案した。
「そんなことができるの!?
樹里ちゃん、部活出れなくて落ち込んでたから 、肩の痛みが無くなったら喜ぶよ!」
嬉々とした声で賛成した直後、未来は顔を曇ら せ、
「でも、どうやって飲ませればいいの?
魔術ドリンクなんてあからさまに怪しいし、普 通の人はまず飲みたがらないんじゃない?
ていうか、私だったら絶対飲まない!」
「そうですね、未来様のおっしゃる通りです。 どうしましょうか……」
青乃臣はアゴに手をやり、考えた。
未来ですら、最初は異世界人の訪問を疑ってい た。
樹里だって、未来と同じ、日本に住む普通の中 学生女子である。買い出しの時、エルクと気さ くに話していたからといって、魔術の存在を信 じたりはしないだろう。
横で話を聞いていたエルクが、目を輝かせて提 案した。
「んな、難しく考えることないんじゃね?
飲ませんのが無理なら、飴(あめ)かなんかに 変えて食べさせればいいじゃん!
同じクラスの仲間なんだし、樹里も、未来にお 菓子渡されたら拒否ったりはしないだろ」
「なるほど! その手がありましたね!
少々お時間をいただきますが、魔術ドリンクを 飴に変えることは可能です。
エルク様、さすがです」
青乃臣は大賛成の様子だ。
「まあな。俺様の思考力にかかれば、こんなの 朝飯前だぜっ」
「私は、さりげなく樹里ちゃんにその飴を食べ させればいいんだね! 簡単簡単!!」
調子に乗るエルクをスルーし、未来は自分の役 割を再確認した。