ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
両者とも気が強く、負けず嫌いな性格と きた。
二人の間には険悪な空気が漂う。
それを破ったのは、弱った足でここまで 未来を追いかけてきた祖父・稔の声だっ た。
「未来! 彼の言うことは本当じゃ!」
「おじいちゃん……!」
稔の後ろには、青乃臣もいる。
未来の後を追いかけるように部屋に入っ た稔は、彼女にエルクのことを紹介し た。
「未来には信じられない話かもしれん が、エルクさんは、異世界スアンから やってきた王子様なんじゃ。
アムドシア郷クロロプラスト王国、アム ド城の跡継ぎ。
エルク=ダリア=アムドさん。
彼は先日、執事の青乃臣さんとたった二 人きりで、この惑星…地球にやってきた のじゃ。
住む場所もなく、ワシの店の前にある公 園で倒れておった。
秘宝が見つかるまで、エルクさん達には この屋敷に住んでもらう。
分からないことも多いだろうから、優し くしてやりなさい」
「ちょっと、おじいちゃん、正気!?
この人達が異世界人だなんて、本気で信 じてるの?
ファンタジー好きも、そこまでいったら 重症だよ~」
終始強気だった彼女は、理解できない現 実を前に、だんだん弱気になる。
稔は昔からそうだった。
宇宙人や異世界人の存在を信じる人間で ある。
だがしかし、こうして異世界人を紹介さ れる日が来るなんて、孫の未来ですら、 夢にも思っていなかったのだ。