ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
アムド城の門前には、数え切れないほど人が集 まっていた。取材陣を先頭に、国民達も「何事 だ…!?」と騒いでいる。
そうなるのも無理はない。これまで、アムド城 ではこういった緊急会見が行われたことはなか ったのだ。平和ゆえに。会見をするとしても、 乗馬大会でエルクが活躍しただとか、聞く方も 気を遣わずに済む報告がされる場でしかなかっ た。
だが、カンタスターレが城からラークリマを持 ち逃げしてから約60日の間、ここアムドシア郷 の自然はおかしくなっていた。
昨夜、エルク達が日本から帰還した後、すぐさ まラークリマを台座に戻したので、自然災害や 気候の乱れはおさまった。
しかし、国民達の間には不安感が広がっている 。
今まで平和だったから、なおさら、気候が乱れ た時の人々の衝撃は大きかった。
「また、何か良くないことが起きるんじゃない だろうな?」
「エルク様、異常気象について何か情報をつか んだのかしら?」
「そういえば、近ごろ、カンタスターレ様のお 姿を見ませんわね。もしかして、先日まで続い た災害で、ケガでもされたんじゃ…!」
人々は真っ青な顔でそんな話をしつつ、エルク の登場を待った。