ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

「エルク様は、長年、城の暮らしに縛ら れてきました。

そのことから考えても、異世界への旅 は、世の中を知るためにも良い機会かと 思われますが……」

青乃臣が柔らかい口調で進言すると、エ ルクは即座に反発する。

「たしかに、城の暮らしは退屈だった!

規則まみれの生活にウンザリして、何度 城を抜け出したか分からねぇ!

でもな! だからって、『はいわかりま した』って、素直に異世界なんかに行く わけねえだろ?

何があるかもわかんねえ世界に、手放し で行くヤツがいるか!?」

「……やはり、そう返ってきましたか。

では、強行手段を取らせていただきま す。

エルク様、お許しください。これは、ク ロロプラスト王国を救うためなのです」

「ジョー……。お前……!!」


次の瞬間、謁見の間を満たすまぶしい光 におおわれ、エルクの体は異空間に飛ば された。


王族の人間として生まれて、15年。

城暮らししかしたことのなかったエル ク。

彼は口が悪く、自信家で、年相応の言動 をするが、次期王位継承者として15年 生きてきた。

様々な教育を受けて育ち、特別待遇を受 けてきた。

悪く言えば世間知らず。

良く言えば、外の世界を知らない純粋な 少年だった。

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