ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
エルクはビシッと人差し指を立て、未来の方を 向いた。
「エルシュだけに任せず、俺様が先駆けて、未 来のところにホームステイをする。
日本に、クロロプラスト王国の人間を少しずつ 交わらせていくことで、新しい発想や文化が生 まれると思うしな!」
「ふふふっ……」
未来はうつむいて鼻で笑った後、エルクの前に 立ち、言った。
「いいじゃん。それ。面白いね。
アンタがどこまで出来るか、高みの見物をさせ てもらうから。
きっと、いい国に変えてみせてよ……!」
テーブルにあったリモコンを手に取り、未来は テレビをつけた。
ニュースがやっている。
淡々と出来事を告げるキャスターの声。
明るいイベントも多いけれど、暗いニュースも 絶たない。
町行く人々は、様々な想いを抱え、今日も日常 を生きている。
自分を隠し、人に合わせ、他人の顔色をうかが い、言いたいことも言えず、仲間はずれを恐れ て……。
「人は、みんなそれぞれ、好みや考え方が違っ て当たり前なのにね。
自分が理解できないような、未知の人はこわい 。それだけで、集団的に誰かを排除しようとす る。
おかしいよね」
未来はつぶやいた。こんな暗いことが、いつか この国から無くなってほしい。
みんながリラックスして毎日を送れる、そんな 国になってほしい。