ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

青乃臣は言った。

「一方、日本には素晴らしい要素もたくさんあ ります。

奥ゆかしさや、控えめな国民性。和を大切にす るところ。

エルク様の働きが、日本に明るい風を吹き込む ことを願っています。私も」

執事の期待に応えるべく、エルクはここで宣言 した。

「簡単なことじゃないだろうけど、絶対にやっ てみせるぜ!

未来達が楽しい毎日を過ごせるようにな…!」

エルクの瞳に、迷いの色はなかった。

もう、以前の彼ではない。

エルクの姿に、未来はまた、胸の高鳴りを感じ た。

それは、彼の働きに期待しているゆえの高揚感 なのか。それとも、別の感情なのだろうか…?


「…!」

突然、未来の胸元から淡いエメラルドグリーン をした光が放たれた。

未来は、半年前のことを思い出した。あれは、 グラウンドで体育祭の練習をしていた時のこと 。

あの時は、青乃臣のラークリマ探知の魔術によ り体が光ったのだが、今回は一体どうしたとい うのか。

「未来、それ…!」

エルクをはじめ、一同は未来に注目する。

未来はとっさに青乃臣を見たが、

「私は何もしておりません」

青乃臣は首を横に振り、目を見開いた。

「なっ、なんで?

何もしてないなら何で光ってるの!?」

未来は困惑した。

以前はすぐに消えた光も、今回は違う。まるで 、何かの合図を送っているかのように、ゆるや かに明滅している。

「もしかして、ラークリマの芽が成長したんじ ゃねぇか!?」

エルクが思いつくがままを口にしたのと同時に 、光はスッと消えた。

「今のはなんだったんじゃ!?」

ラークリマについて詳しいことを聞かされてい ない稔とエルシュだけが、興味深く今の現象に 食いついていたが、青乃臣が何とかそれをなだ める。
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