ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
未来はエルクをにらみつけ、低い声で 言った。
「なんで割ってんの?
これは、私の宝物だったのに……!
もう、売ってない限定品なのに……!」
「ごめん……。そんな大事なモンだった なんて知らなくて……。
稔じいちゃんに聞いたんだ。
未来はミルクティーが好きだって。
寝起きに出したら、喜ぶかなって……」
ソウルメイトの存在は、半信半疑。
けれど、エルクはエルクなりに、未来と 仲良くなりたくて、努力しようと思って いた。
その気持ちは未来に届かず、逆に、彼女 をますます怒らせることになってしまっ た。
「アンタ、昨日、私の話聞いてた!?
住むのは勝手だけど、干渉しないでって 言ったよね?」
「そんなこと言わずに、仲良くしよう ぜ?
せっかく同じ家に住むんだしさ……」
「馴れ合うのは嫌いなの。
学校だけで、充分しんどいのに……。
家でくらい、一人にさせてよ。
私の居場所を取らないで」
床にこぼれたミルクティーと、マグカッ プの破片。
冷ややかな目でそれを見遣り、未来はス ウェットのまま部屋を出て行った。
未来の怒りがエルクには理解できず、寂 しい気持ちになった。
あんな顔をさせるために、こんな行動を 取ったわけではない。
「なんだよアイツ。
俺様が心込めて淹(い)れたっていうの に……」