ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
そのあとも、エルクは未来に謝り続けた が、彼女の機嫌は直らなかった。
未来は着替えを終えると、朝ごはんを食 べずに学校に向かった。
ダイニングに残された青乃臣とエルク。
二人は、未来が手をつけなかった食事 を、分け合って食べた。
「エルク様、元気がありませんね。
やはり、ヴァンパイア化してしまった現 在、朝の行動は控えた方がよろしいかと 思いますよ。
マグカップを割ってしまったのも、貧血 のせいなのでしょう?」
「そうだけど、何もかもヴァンパイア反 応のせいにすんのもなぁ……」
しょげるエルクを、青乃臣は励ました。
「大丈夫ですよ、エルク様。
未来様も、いずれエルク様のお心を理解 して下さいますよ」
「そうかー?
アイツ、俺様以上にガンコで難しいヤツ だぞ」
食べるのをやめるとエルクは両手で頬杖 をつき、つまらなさそうな目でテーブル 上のあまった食事を見た。
「俺様も、城にいた頃はよく、親父にワ ガママだって言われてたけど、未来ほど ガンコじゃないだろ?
アイツ、すっげぇ冷たいし。
ミルクティー淹れてやったの、アホみた い」
「おや。せっかくの好意を無にされて落 ち込んでみえるのですね、エルク様は」
エルクは大きなため息をつく。
「ああ。もう、ダメだ……。
ジョーの話を疑うつもりねぇけど、アイ ツが俺様のソウルメイトなんだってこと も、信じられなくなってきたわ」