ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

しかし、未来だけは違った。

彼女は、他の女子達のように、好きだと 思える人がいないのだ。

ゆえに、みんなの恋愛話にも、イマイチ 面白みを感じないのである。


今まで未来は、何人かの男子に告白され てきた。

上級生に交際を申し込まれたこともある けれど、他校に好きな人がいると言い、 どの人の告白も断り続けてきた。


――好きな人がいない――

正直にそんなことを言ったら、周囲から のけ者にされ、変に浮いてしまうと思っ たのである。

みんなと違う自分に、強い不安を覚え た。


未来に近付いてくる女子達はみんな、そ れぞれに好きな人がいる。

そんな彼女達を見て未来は内心焦ってい たが、小心者でプライドの高い彼女は本 当のことを言えず、今日も、笑顔でこう 返すしかなかった。

「中村くんはいい人だと思うけど、私、 他校に好きな人がいるから……」

照れた表情まで作り、みんなを騙す。

“私、将来女優になれるかも。なんて ねっ”

心の片隅で、そんな冗談を言う未来で あった。


恋愛系の話になると、決まって口にして きた「他校に好きな人がいる」

未来のウソは、最近、クラスメイトの間 に浸透しはじめてきた。
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