ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
未来の席に集まる女子のうちの一人、波 崎樹里(はさき・じゅり)が、興味津々 に質問した。
「他校だったら、めったに会えないよ ね。
その人に告白とかしないの?
未来なら、即オッケーされるんじゃな い?」
波崎樹里。
バスケ部で大活躍中の女子生徒。
他のクラスメイトと違い、彼女だけは、 未来のことを呼び捨てにする。
中学入学後、未来が最初に言葉を交わし たのが、樹里だった。
ショートヘアで活発な性格の樹里は、裏 表がなく、誰にでもサバサバした態度。
未来は、樹里のことを敬遠していた。
ウソ大半で生きている未来にとって、樹 里はもっとも苦手なタイプなのだ。
さすがの未来も、樹里の質問には戸惑っ た。
“告白するもなにも、好きな人いるなん てウソだし……”
「告白は考えてないよ。
あの人、彼女いるから、迷惑かけたくな いし……」
それっぽく切ない表情をし、未来はウソ にウソを重ねた。
架空の人物に、彼女の存在をでっちあげ てしまった。
樹里は同情的なまなざしで、
「マジかー。その人、彼女持ちなんだ。
未来、かわいそう……。
つらくない?」
「いいんだ、別に。
片思いでも幸せだしさっ」
どこかで聞いたようなセリフを、自分の 本音のごとく口にする未来。