ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
恋の話で盛り上がっていると、予鈴が 鳴った。
「また後でねっ」
樹里をはじめ、女子達は未来に手を振 り、それぞれの席に戻っていった。
大きなため息をつき、未来は窓の外を見 る。
“中学生って職業は、楽じゃないなぁ ……。
早く、家に帰りたい”
頬杖をつく未来。
その背後で、彼女の様子を観察している 者がいた。
エルクと青乃臣である。
青乃臣の魔術で透明人間になった彼ら は、さきほどからずっと、未来のそばで 彼女の日常を観察していた。
授業が始まりそうになると、開きっ放し になっている教室後方の出入り口から いったん廊下に出て、二人は透明な体の まま誰もいない空き教室に忍び込んだ。
「未来のやつ、家にいる時とは別人みた いに明るかったな。
あんなにニコニコしちゃって。
ビックリした」
エルクはあきれ顔でつぶやく。
何が不満なのか、家では常にピリピリ モードの未来も、学校内では笑顔をたや さない人気者の美少女優等生ときた。