ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐
お茶やおやつを用意してもらった手前、 未来は、エルクの所在を訊(き)かずに はいられなかった。
人付き合いをわずらわしく感じる反面、 他人の動向を人一倍気にするのも未来の 性格の一部である。
それが同居人の事となると、なおさら。
加えて小心者の彼女は、
“アイツ、私に隠れて何か、良くないこ とをたくらんでるんじゃないの……?
今朝、マグカップのことでキレた私に、 仕返しの方法を考えてるとか……”
と、冷静な顔で邪推(じゃすい)に走っ ていた。
「……珍しいじゃん。
アイツ、いないの?
靴はあったから、出かけてるワケではな さそうだし。
かといって、部屋でおとなしくしてるよ うなタイプには見えないけど」
「はい、その通りです。
エルク様は、元気なことが取り柄でい らっしゃいましたから……」
「体調でも悪くした?」
ぶっきらぼうながらも、未来は少しだ け、エルクの様子を気にした。
「……そのことについて。
未来様に、お話しておかなくてはならな いことがあります……」
改まり、青乃臣は切り出した。
「本来、エルク様は普通の人間でした。
私のように魔術の指南を受けたことがな いので、何らかの術で変身したわけでも ありません。
ですが、こちらの惑星に来てから、エル ク様はヴァンパイアになってしまいまし た」
「ヴァンパイア……!?」
異世界人と対面して2日目。
いまさら驚くことなど何もないと思って いたが、未来は思わず声を上げてしま う。